「動かなくなった機械室」と「目の輝き」と「今まで」
閉鎖をしました摂津の湯、後片付けも大方終了しましました。
この場所は定期借地をしており20年の契約まであと2年半ほどあります
今回閉鎖の決定の背景は
1、契期満了まで温浴事業をつづけて廃業するか
2、契約期間を延長して温浴事業を続けるか
3、契約期間を延長して違う事業を行うか
3つの選択肢がありました
施設維持するには傷みも多く改装コストがかかります、あと2年半継続するにもそれなりの修繕費も含めた売り上げが必要になります
ならば一層しっかりと改善を行い営業を延長するかの場合それに見合う収益が確保できるかとのバランスもあります
違う事業を行うのであれば早期に着手すべき
弊社は小売業(業務スーパー)飲食業(焼肉店・ピザ店)温浴業など複合事業を行っておりますので出てきた答えは3と言う事になったというのが今回のいきさつです
運営を行う中で今後に於いても多くの可能性は見出していました、大きくではありませんが成長もあり得る実感もあったのですが複合事業を行う中で主軸事業を成長させる方針を上回る提案ができなかった事は痛恨の極みです
覚悟して経営をすると言う事
店舗閉鎖後、まだまだ使える機械類や備品を同業者の方にお分けさせて頂いています
購入して間もないサウナマットは茨城県水戸の”やまやの湯”様が引き受けてくださいました
吉岡支配人ありがとうございます
サウナの12分計は横浜の”満天の湯”様が引き受けてくださいました。
久下沼支配人熱いローリューをお願いします
ドライヤーは愛媛県の”キスケの湯”様が引き受けてくださいました
改装してノリにノッテいる田中マネージャーありがとうございます
ポンプ関係や熱交換器、その他機械関係はお付き合いのある複数の設備業者様が引き受けてくださいました。
装飾品は長く付き合いのある設計事務所様が引き受け、どこかで日の目を見る事となると思います
小林部長よろしくお願いします。
ドナーとして温浴施設の”臓器”が設備業者様を通じて引き取って頂きました
どこかの施設の機械室で元気よく心臓の鼓動を奏でてくれることを祈っております。
柳瀬さん、才木さん、外科手術お任せしました
日頃の運営の中で苦労をしているからこそアンテナを立てている彼等のもとで役立て貰えてうれしく思います
個人経営の温浴施設様に敬意を表します
今回FBやブログを通じて備品や機械関係の引受先を募集したところ上記の方々以上に熱心に多くの問い合わせを頂きました
その大半がいわゆる街中銭湯や指定管理者として地方の温浴施設の再生に励んでおられる事業主様たちです
創業80年の3代目経営者の方は30年前にサラリーマンを辞め引き継いだ際に大きな投資をして当時最先端の施設をリニューアルされたそうです
老築化が激しいという閉鎖した当店のさらに13年も前の話です
炭酸装置は福井県に嫁に出しました
個人で借金を行い、なんでも自分でやらなければならない環境の中での苦労は一筋縄ではいきません。
設備のメンテもすべてご自身でさせる中、当店の機械関係は最先端のピカピカの新品に見えるそうです
コストがかかるので思い悩んでいた炭酸装置を始め多くの機器を引き受けてくださいました
同じマーケテイングセミナーで知り合ったひげ店長
3代目の手のよってこれらの機器は大切に扱われ、そこに通う多くのお客様が今まで以上の満足をそこで体験して頂ける事を幸せに思います
炭酸装置については26年間のサラリーマン生活から家業を継いだばかりという東京の銭湯経営者の方や九州の銭湯経営者の方からも連絡を頂きました。
高級車に匹敵する装置への投資の難しさをそれぞれお聴きするにつけ、感じる事があります
街中銭湯専門の設計をしているという方は機械室からあちこちの銭湯に電話を入れて機械の状況を聞き欲しいものがないかを確認されていました
体重計や冷水器、の他店舗に残る品々をほくほく顔で物色されていた奈良県の経営者の方はこの春に念願叶って温浴事業を始めたそうです
飯田さん積載量オーバーです(ーー゛)
こういった個人で経営をされている事業主様と接すると企業の中でいかに恵まれた環境にいたのかを痛切に感じないわけにはいきません
稟議書を書けば故障した機械は新しくなり
面倒で危険なメンテナンスや清掃作業は専門家に依頼をし・・・
本当の意味で17年間で店を閉鎖する事を心苦しく思ったのは店舗を閉鎖し、お客様がいなくなった動かなくなった機械たちのいる部屋で彼等の目の輝きを見た時かもしれません
覚悟の違いを感じざるを得ないのです
最後の最後に勉強をさせられた思いです
運営を続ける日本中の温浴施設の皆様に敬意を表し、そしてできれば今後は何らかの形でお役に立てれば幸いです
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