西野亮廣に学ぶプロジェクトの役割と情報共有の必要性
一つの事業を行うのに組織は複数の部門が連携して動きます。
組織でなくても、何らかのプロジェクを動かす場合にはプロジェクトメンバー間での連携が必要です。
ところが、往々にして部門間や専門テリトリー間で不協和が起こり、それぞれが機能的に結びついていないことがあります。
温浴施設や温泉旅館で、営業企画サイドと料理部門、リラクゼーション部門との対立とか、イベントの実行においての温度差やテリトリーの覇権争いなどはよく目にする光景ですよね!
特に最近気になるのは、サウナブームに乗じて行われる熱波師を招いた企画です。
重要なのは、目的の共有、責任範疇の明確化、そしてコミットメントですが、最近よく引き合いに出す西野亮廣氏のYouTube番組内で、複数のプロジェクトを回す場合それぞれの役割を明確に理解し、それをメンバーが共有することの重要性を具体的に話されていたので引用してみます。
目次
「お金」と「宣伝」と「世界観」
先日、西野氏のYouTubeの中で、自信が運営するプロダクションでのプロジェクトの役割を解説されていました。
「絵本の制作」「舞台」「オンラインサロンの運営」「西野氏の講演活動」「ビジネス書の執筆」
上記の6つの事業(プロジェクト)があるのですが、これらは個別で収支を自己完結させるのではなく、それぞれの事業が目的を果たすことで有機的につながっており、その結果全体が回るように設計されています。
西野氏が描く「絵本」(エンタメ)の世界観を体験する場が「舞台」であり、世界観を構築して舞台を作り上げるまでのジネス手法を「オンラインサロン」で公開する。
そして、その内容を盛り込んだ「ビジネス書」の発刊して、「講演会」ではその内容を掘り下げる場とする。
それぞれのプロジェクトの目的は「世界観」「宣伝」「お金」に集約されています。
絵本の制作
『えんとつ町のプペル』をはじめ多数の作品がありますが、これは西野氏の描く「世界観」の象徴です。
絵本は商業的に成功したとしても、大きなビジネスにはなりにくく、例え売れる作家になったとしても発行部数は少なく、利益の出ない業界なのだそうです。
必然、多くの作家は家内制工業で何から何まで一人で取り組まなければならず、t卓越した発想があったとしても予算や人員の問題で思い切った冒険ができないような業界だと言われています。
そんな中、西野氏の思い描く世界を実現するために、各方面の優れたクリエイターを募り、あるゆる実験検証を加えながら、従来作家一人で行っていた作業を分業体制で行っています。
氏の描く世界観を表現するための仕掛け作りには採算など度外視で、必要となる経費は別で賄われます。
つまり、絵本の制作における成功はそこで収益をかせぎ出すことではなく、圧倒的な技量で世界観を描くことにあります。
結果として、従来の絵本業界ではなし得ない強さを発揮しているのです。
舞台;イベント
「ミュージカル」「武道館ライブ」「展示会」など企画イベントを多数手掛けていますが、「舞台」の目的は「絵本」で描いた世界観の体験をしてもらう空間づくりです。空間イベントを行うことで、西野氏の描く世界観の共有や共感力は高まります。
手がける「舞台」は絵本と同じく、圧倒的なパフォーマンスを実現するためにセオリー通りの舞台づくりは行わずハイクオリティを目指します。
こちらも当然高コストとなりますが、「舞台」は絵本のように赤字は許されず、採算ギリギリでも黒となるように、ビジネスとして成立をさせなければなりません、それが一つのミッションです。
「舞台」にはもう一つのミッションを持たせています。
それは、ビジネスとして成立させるための仕組みづくりの実験工場としての役割です。
資金の集め方としてはクラウドファンディングをあらゆる方法で駆使して、様々な角度から応援を募ります。販売に関しても、リアルな舞台をオンライン配信用に商品化して、実動客の何倍もの方に鑑賞をしてもらうための作品に仕上げています。
更には、稽古風景の見学の商品化、小道具の販売、スタッフミーティングの有料鑑賞、NFTの販売など『舞台』制作の過程を商品化しています。
そして、こういった新たな取り組みやノウハウが「オンラインサロン」「講演会」「ビジネス書」のネタとなっています。
オンラインサロン
日本最大のオンラインサロンで4万人以上の会員数を保持。会費は1ヶ月980円です。
ざっと見積もって、月間4千万、年間約5億円になります。
ここでの収益を、シンボルである絵本制作に投入することで確固たる世界観を維持し続ける原動力となっています。
サロン名は「西野亮廣エンタメ研究所」ですが、その内容は自ら行うビジネス運営の過程が成功も失敗も含めリアルに記されており、エンタメをビジネスとして成功させるための取り組みやノウハウが日々綴られており、まさに研究、実験の裏側を見せる場所となっています。
秀逸なビジネスメールマガジンを購読しているようで、そのため経営者のメンバーも多いのです。私も、ここで仕入れたネタを、クライアント先で試すことも多くあり勉強になります。
単なるファンクラブではなく、西野氏の描く世界観を支える強いコミュニティーを形成しています。
講演会
クリエイターとして多忙な中、年に数十本の講演会をこなしています。この目的は舞台やイベントの宣伝(自信の世界観体験への誘導)であり、収益は全てイベントへの制作費へ投資されています。
収益はありますが、使い方も決まっているわけです。
ビジネス書
自らの体験からエンタメ事業の仕組みや組織の作り方、資金調達、などビジネス書のベストセラー作家としても活動しています。目的は「オンラインサロン」への誘導にあります。
書籍の内容はビジネス書としても優れており、生き方としての啓蒙にもなるので、読了後にオンラインサロンへ入会する者は多いでしょう。私もその一人であり、まんまと術中にハマりました。
書籍収益は全て実著のビジネス書の宣伝に投下、ビジネス書の売上を伸ばすことで、オンラインサロンへの加入者を増やすビジネスモデルでなのです。
以上のように、各プロジェクトの役割が「世界観」「宣伝」「お金」それぞれの目的が有機的に結びついている。
この流れは西野氏の頭の中で明確となっていて、その意図を各プロジェクトメンバーに共有しています。でなければ、絵本の赤字は許容できないだろうし、舞台のクオリティは下がってしまう、または黒字化は不可能かもしれないでしょう。
全体を支えるオンラインサロンの内容も実体験に基づくシリアスさがなければ、海千山千を体験している経営者層には響かないと思います。
ロウリュイベントはなんのために行うのか?
今、サウナブームであり、業界ではサウナが目的のお客様が増えてきています。
今までにお金を出してお風呂を利用する習慣のなかった人がサウナを求めて増えているのは事実です。
ですから、単にサウナに入るだけでなく、熱波師によるロウリュイベントや、テントサウナを使ったイベントなどを行うと盛り上がります。
しかし、プロの熱波氏を定期的に召喚するればそれなりの経費はかかります。大型施設であれば、30人くらい入るサウナを備えているかもしれませんが、それでもピーク時に時間当たり300人規模で入る施設だと一部のお客様しか体感はできません。
テントサウナも、設営から運営・監視、やはりその中でロウリュイベントを行うと、それなりの経費がかかります。
イベントを行うなら、たまたま来店したら催されていたという結果では話になりませんそれを目的とした集客が必要です。
有料イベントで行う手もありますが、余程の企画力がなければ熱波師を召喚しただけではうまくは行きません。
そもそも、サウナ代金込みの施設が大半ですからその時だけ有料にするには興味のない方もおられるのでハードにはルが高くなります。
1回限りのお祭りであれば、宣伝のためのイベント経費と割り切れば良いでしょう。
しかし、本気でサウナ客の集客で優位に立つためには、定期的な改題が必要で、どこで利益を生むのか、誰がどんな風に汗をかくのか、経営(経理部門、広報部門)運営(温浴部門、飲食部門、物販部門、テナント部門)が、有機的に連携しなければならないのです。
ところが、多くの施設では勢いだけで開催を決め、集客目標も収益目標もなく、ただ闇雲的に行なっている場合が多いように感じます。
西野氏なら、イベントの立ち位置をどのように見たてて、どのように集客をして、各部門にどのような責任を負わせ、どんなアイデを引き出し、商品化して行くのでしょうか。
今ならまだ取り組み次第で、地域で一番ホットなサウナ施設になることができます。
目指すゴールはどこか、どこで感動させて、どこでお金を使ってもらうのか。そして各部門がそれぞれの役割を理解して初めてイベントは成功したと言えるでしょう。
しっかりとしたマネジメントが求められます。
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