求人難の中での人材教育の覚悟

日本最大のオンラインサロン「西野亮廣のエンタメ研究所」の投稿で、組織で働く人に向けた下記のような内容の記事がありました。「https://salon.jp/nishino」」

 

(組織で働く以上)「教えて貰うを前提で働くな」という内容です。

 

会員限定の投稿なので詳しい内容は述べられませんが、タイトル通りの意味です。

 

仕事を任された場合、たとえ初めて行う仕事であってもまずはベストを尽くす。これはベテランも新人も同じです。

 

やったことがないから、教えてもらいながら進めよう。

 

もちろんこれは間違いではありません。しかし、教えて貰うにしてもベストを尽くして取り組むことが大事です。ベストを尽くすから、わからない箇所や自信のない箇所が明確になるのです。

 

解らないから聞けば良い、という前提で自分で思考したり、調べたりの努力もせず安易に取り組むな!という意味です。

その姿勢は自分のためにならないし、組織はその態度を改めさせる責任があります。

組織は社員教育にどこまで責任を持つべきなのか

マイナビの調査によると、本年度の学生の就職先に求めるものは

 

1 「楽しく働きたい」

2 「個人の生活と仕事を両立させたい」

3 「人のためになる仕事をしたい」

 

よくわかりますし、かくあるべきです。しかし、給与をもらう以上プロとして働くという意識を持った上で実現をさせてゆく、その責務があります。

 

切手を貼らなけりば手紙は届かない

今から25年ほど前、ずいぶん昔の話です。

 

当時30半ばの私は短大を出たばかりの新卒の男子と二人であるプロジェクトをすることになりました。

 

ある日、プロジェクトに関わる面接をした人たちの不採用の通知を、返送するように彼に指示しました。

 

しばらくすると配達先の郵便番号も、住所も不完全で、なんと切手も貼っていない会社の封筒が何通か郵便受けに戻ってきています。

 

意味不明です!疑心暗鬼になりながらも、この新卒男子に理由を聞いてみました。

 

“なぜ?”

 

答えは

 

“教わっていませんから”

 

愕然としました。

 

手紙を出した経験がない、そんな奴がこの世に実在するのだろうか!!

 

それを教えるのは俺の仕事だろうか?

 

叱っても無駄なレベルの人物と行動しなければならないのか!こりゃ大変だと思いました。

 

これはあまりにも極端な例かもしれません。

 

しかし、これに近いこと、常識と思えることを知らないレベルの人は結構います。特にサービス業の場合、常に人手不足です、人材に対して贅沢は言えないという現実があります。

 

自分の常識内で片付けさせない

 

「教わっていないことはできない」で自分を肯定させない

「何の疑問も持たない質問」をさせない

 

組織で教えるべきことは、一つ一つの技術ではなくて、そういう認識を持たせることではないでしょうか。

 

知らないことが問題ではないのです。知らないことや、解らないことは山ほどあるだろうから、なんだって教えます。

 

しかし物事を教わるには、教わる姿勢というものがあるはずです。

 

組織はその態度を明確にすべきです。

 

因みに、叱ってはダメなレベルの先程の彼に対しては、烈火のごとく叱りました。知らないのことは知らないで当然というその態度についてです。

 

とりあえずモノにしなければ、この先立ちゆかなくなるからです。

組織はどのようにして人を育てるべきか

誤解を恐れずに言えば、令和の時代に

「会社のために何ができるか」「組織のためのどう働くか」

などを求めるのはナンセンスです。

 

先のアンケートにもある「人のためになる仕事をしたい」というのも、とどのつまりは自分のためです。人は組織のためには働かない、このことを十分に理解する必要があります。

 

僕は、クライアント先の社長出席のミーティングでも「一生この企業にぶら下がるつもりですか?」と社員たちに問います。

 

今の仕事が、次なるステップの踏み台になっているのかを問います。

 

結果的に、この組織で働きづづけることが自分のためになるのなら、それは素晴らしいことです。そういった考え方ができる環境作りをする責務は組織側にあります。

 

目まぐるしく変化する環境の中、組織で働く人々がそう思える職場であるためには、究極的には社員にプロとしての自覚を求め、社員はその自覚を持つような環境でなければならないと思っています。

 

どのような社会や組織でも、プロの自覚を持って渡り歩けるスキルを身につけることのできる環境が、実はそこで働き続けたい要因となると信じています。

組織が真剣でないのに人は育たない

組織の人員にプロとしての自覚を持ってもらうには、それを求める側つまり組織側が真剣でなければ成り立ちません。

 

真剣に育てる気もないのに、相手には真剣に答えろというのは虫が良すぎます。

 

手紙に切手を貼らなければ、手紙は届かない!そんなことは社会常識で小学校卒業までに学んでおけよ、と言って切り捨てるのは簡単です。

 

切り捨てるか、捨てないかは組織の判断でしょう、切り捨てることが正解かもしれません。

 

しかし切り捨てられないのであれば、組織は覚悟を決めるべきです。

 

ここで自分を磨かなければ先がないと自覚させることができるか。自分を磨く場所として覚悟を持たせることです。

「知りませんでした」で終わらせてはならない、分からなければ、聞け、調べろ、検証しろ、出した答えがベストなのか、相手が望むものなのかを考えろ!最初から尻拭いを前提にするな!

 

日本中にある、あの赤い郵便ポストに切手を貼らずに手紙が届くと思う成人はお前だけで、そんなことを“知りませんでした”で片付ける自分のヤバさを知れ!

 

そんな人物を使うには覚悟は必要です。

 

ある意味真剣勝負、放置すればどんなことになるか分かりませんから。

 

多くのサービス業では、現実問題として社会の基礎の基礎から叩き込まなければならない人材しか集まらないこともあります。

呑み込むしかありません。この組織で自分を鍛えようという気になってもらいましょう。

 

先の新卒短大生君。さすがに彼も自分のヤバさを悟ったのかも知れません。

その後も幾度を叱責をする場面を繰り返しました、今ならモラハラ、パワハラと言われそうな場面もあったと思います。やり過ぎた部分は反省しています。

 

しかし、このプロジェクトで「お客様を喜ばせよう」と思う思いは通じたと信じています。

 

僕も必死でした。

 

組織の成長と個人の成長

 

組織の目的が、従業員の目的と同一であるとき組織も人も成長するのだと思います。

 

前述のA君は、その後10年以上にわたって、組織内の飲食部門の責任者として、複数店舗の現場をまとめてくれました。

 

飲食に関しては僕は素人です。口出しをしますが、調理についての知識はありませんので聞かれても答えられません。

 

彼なりに切磋琢磨して現場を取り仕切ってくれていました。面白いメニューを考案し、いくつかのヒット商品も生み出してくれました。

 

人の管理は苦手なようでしたが、合流した気むづかしい調理人たちに対しての差配もしながら売上を構築し、責任者として活躍してくれました。

お陰で店舗数も増やすことができました。

自分を磨ける場所を見抜け

 

あらゆる業界が人手不足です。特にサービス業界はz猫の手も借りたいような状況ですが、昨今は餌を差し出せば無条件にやってくる野良猫すら集まらないのが現状です。

 

売り手市場の労働戦線で、職を求める人にとってな有利な環境です。

 

働く側は、それに甘んじていてはならないと思うのです。

 

楽しく働くのは自分次第です、仕事とプライベートの両立とは仕事を疎かにすることではありません。そして、何より人の役に立つということは、強い貢献意欲が必要で人に頼ることでは無い筈です。

 

組織は働く場を提供します、そして働く以上プロとしての自覚を持ってもらいたい。

 

組織も、組織メンバーもそれぞれ覚悟を持つことが大切です。

 

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小野康成 温浴施設コンサルタント 温浴施設の持つポテンシャルを視座を変えて見つめ直すと実に多くのサービスを提供できます。それを必要としている人が地域には溢れています。17年間で複数の温浴施設・飲食店を立ち上げ現場指揮から得た経験から、施設と地域と人を繋ぐプロデユースを行なっています。