おとーちゃんは幸せやったと思います

毎週火曜日はシルバーデー、65歳以上の方は割引料金でご入浴頂けます

今月から割引料金を少し上げさせて頂きましたが、足元が悪い中を朝から足を運んで頂いております

お客様の多くは常連様なので、フロントで軽口をたたきながらやり取りをしているとあっという間に時間が過ぎてゆきます、商売としては楽しい時間ではあります。

一人の老婦人が喪服でご来店されました、後からご家族らしき方々も一緒喪服姿でご入店されて、今日は食事だけさせてくださいと仰います

喪服なのですぐには気づきませんでしたが、その御夫人はいつもご主人とご来店されてご主人だけが入浴をされる約一時間をロビーで待っておられるお客様です

週に3度くらいは来られるので時折お話をさせて頂く、そう今日の他のお客様たちと同じような常連様です

”奥さんはやさしいなー、うちの嫁はん将来奥さんのように付き合ってくれるかなー?”

”おとーちゃんには大好きなおふろに入って、少しでも長生きして欲しいからね私にできるんはこのぐらいやから”

”いやいや御立派、旦那さんは幸せや・・・”

そんな会話を確か春先にした覚えがあります

おとーちゃんは幸せやったと思います

”さっき49日の法要が終ったんよ・・・”

え!・・・・・

ご主人は数日前に突然倒れて意識を失い、救急車で運ばれたがそのまま帰らぬ人となったそうです

葬儀が終り、四十九日の法要が終り、集まった娘さん達のご家族におとうちゃんが大好きだったお風呂の話をしたらそこで食事をしようと言う事になってご来店下さいました

”一人やったら寂しくてよう来んかったと思う”

そう言って少し寂し気に笑うご婦人にうまくかける言葉もないままに微笑み返す事しかできません・・

だけど、おとーちゃんは幸せやったと思います

街中の風呂屋の役割

我々のような街中の温浴施設は介護補助をしたり、付き添ったりというサービスはできません

ご来店頂くお客様は子供から大人まで幅広い年齢層の方が基本元気である事、自分の意志で動ける事が前提となります。

シルバーデーでは多くのシルバー層の方が来られます、デイケアサービスや介護老人施設を利用併用されておられる方いますが、イメージ的にはそれ以前のもう少し言えば、そういった施設に関わる事が少しでも先にのばせるような、メンタル面も含めた健康維持に役立ちたいと思っています

先のお亡くなりになられたご主人はかなりの御高齢で色々と生活には不自由もあったかと思います、しかし旅立つギリギリまで優しい奥様に見守られながら自分の意志で大好きなおふろに入る事ができた事はやはり幸せだったと思います

そしてそのおふろが我々の施設であった事を光栄におもい、ご主人のご冥福をお祈りさせて頂きます

応援してね!!

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小野康成 温浴施設コンサルタント 温浴施設の持つポテンシャルを視座を変えて見つめ直すと実に多くのサービスを提供できます。それを必要としている人が地域には溢れています。17年間で複数の温浴施設・飲食店を立ち上げ現場指揮から得た経験から、施設と地域と人を繋ぐプロデユースを行なっています。