「顧客との違いは?ファン客を増やす戦略とその重要性を解説」
“なんで閉めるの?近くになんぼでも風呂屋はあるのに、20年近く毎週尼崎から、1時間以上電車に乗ってわざわざきてたんやで!この店のファンやったのに、ほんま残念や、なんとかならんの(哀)“
数年前、閉店の決まった施設のフロントで、常連の女性のお客様に詰められた経験があります。
大阪の北部にあるこの施設(スーパー銭湯)、確かに尼ヶ崎(ダウンタウンの出身地)は商圏ではない。
だいたい、限りなく大阪だが、尼ヶ崎は兵庫県なのだ。
何かのついでではなく、当店が目的で毎週わざわざご来店頂いていたこのお客様は、時には手土産を持ってやってきて、自らファンを名乗ってくださったありがたいお客様なのだ。
こういったお客様に支えられていたことに改めて感謝しつつ、本当に申し訳ない気持ちで一杯だった。
やむを得ない理由があったにせよ、自分が立ち上げに関わり、育てたつもりのブランドを守りきれなかったことに、ほとほと情けない思いを持ちました。
フアン客とはいったいなにか?を改めて考えてみたい。
常連客とファン客の似ている非なる存在の違い
商売をする以上顧客の存在は大切だ。
顧客とは、すでに自社のサービスや商品を購入した経験のある既存客と、すでに何度も購入や利用をしてくださっているリピータ客に別れる。
そして、リピーター客の中から一定の熱烈に支持をしてくれるお客様をを作り出す、それがファン客なのだ。
商売をする上で、顧客とファン客の両方が非常に重要だ。両者の違いを理解し、正しく対応することが、企業やブランドの成功につながってゆくのだ。
1購入頻度と金額の違い:
顧客は商品やサービスを購入する一般的なお客様ですが、ファン客は熱心な支持者であり、頻繁に購入する、高額な注文や定期購入などをする場合もある。
2ロイヤルティの違い:
顧客は通常、他の選択肢があれば別の会社に移ることがあるが、ファン客はそのブランドや企業に忠誠心を持ち、基本的には一択で選んでくれる。
3口コミの影響力:
ファン客は自らの経験を積極的に友人や家族などに伝えることで、口コミの影響力が大きい。一方、顧客の口コミは限定的である。
4ブランドへの貢献:
ファン客は、企業やブランドの成長やプロモーションに積極的に参加し、自らの影響力を使って広めることがある。顧客は商品やサービスを利用するだけで、そのブランドへの貢献度は限定的である。
5感情的な傾倒:
ファン客はブランドに対して感情的に信頼を持ち、ブランドのビジョンや価値に共感する。このような信頼は、顧客の場合よりも強くて長続きする傾向がある。
ファン客に支えられるサービス産業
仕掛けたら答えるお客様
温浴施設というのはレジャーとしての側面と、日常生活の中の衛生活動というルーティンとしての側面を持つ。したがって、常連客を多く抱えることが重要なのはいうまでもない。
そのため、常連客は1回あたりの入浴料金がお得になる回数券はよく売れる。
時折、回数券にオリジナルアイテムのTシャツや、バスタオル、最近ではサウナハットなどを作り、回数券とセットで販売することがあるのだが、お店のロゴマークの入ったTシャツも、バスタオルも、サウナハットも常連客にとって特別必要ではないでしょう。
特に値段が安いわけでも、極めて特異なクオリティーがあるわけでもないのですから。
それでも毎回必ず購入して、わざわざそのTシャツを着てやってくる人たちがいるのだ。
もちろん、彼等はサウナでは購入したサウナハットを被り、風呂上がりには店のロゴの入ったバスタオルを腰に巻いて鼻唄混じりにドライヤーで頭を乾かしている。
仕掛けたら、答える。サービス業にとって、そんなノリの良いお客様がどれだけいるかがとても大切だと思う。
浮気をしないお客様
25年前にはまだスーパー銭湯はそれぼどの数があったわけではなかった。なので、商圏はものすごく広かった。
この流れがブームとなり、スーパー銭湯は一挙に店舗数が増えたのだが、当然お客様たちの多くは近くの新しい施設をホームベースにきり変えていきました。
そんな中、時間も交通費もかけて、相変わらずやってくるあの人の存在は宝物といっても過言ではない。
ブランド認知して広めてくれるお客様
デニムに夏は白のTシャツ、春と秋はグレーのパーカーがトレードマークのAさんは週に3回はやってくる。アウターは季節ごとに変わるけど、くたびれ気味のデニムはリーバイス501と決まっている。
学生のころは自分も愛用していた501なのだが、Aさんに最近はもっぱらユニクロデニムだと伝えると“リーバイスとこの店は俺の2大ブレンドよ”と返してくれた。全く泣ける言葉だ!
Aさんは来店すると自らのTwitterアカウントに必ず投稿してくれて、イベント情報なんかも積極的にツイートしてくれる。
お店のアカウントからの投稿も、コメントをつけて引用リツイートを行なってくれる。Aさんのフォロワーは相当多くて、人気も高いようで、お店のアカウントもAさん経由でのフォロワー数が順調に伸びていた(ありがたや!)
もはやチームの重要なパートナー的なお客様
近所の団地のまとめ役のNさんは年に数回ある店休日以外は開店と同時に来店され、さっさと入浴して帰っていかれる。
しかし、お店で企画する、桜まつり、盆踊り、餅つき大会、など昼過ぎから行う企画会議があるときは、お客さんなのになぜがやってきて、参加をされる。
団地で保有する器材の貸出しや、設営のための助っ人手配などを手伝ってくれる信頼のおけるパートナーなのだ(頼もしいです!)
顧客をファンにするために大切なこと
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感謝の表現と特別な扱い:
ファン客はブランドや商品に対して忠誠心を示してきます、サービスの提供はその忠誠心に感謝の気持ちを表現することが大切です。
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コミュニケーションと参加の促進:
ファン客はブランドに対して強い感情的な思いを持っていますので、サービス提供者は積極的なコミュニケーションを大切にし、個人の意見や反応を真摯に受け止めることが重要です。彼らを大勢の中の一人にしないことです。
このため、ファン客が参加できるようなコンテストやイベントを企画し、個人がブランドの一部であると感じられるような機会を提供します。
3ブランドストーリーの共有:
ファン客はブランドのストーリーに共感していますので、サービス提供者はブランドのエッセンスやビジョンをより広く共有する努力をしましょう。
具体的には、SNSを活用してブランドの背景やサービスを提供するに至った過程、社会貢献活動などを発信し、ファン客がより深い気づきをもってもらうことが重要です。
4継続的なエンゲージメントの提供:
エゲージメントとは、ポジティブな関係性のこと。
ファン客は一度の購入だけでなく、長期間にわたってブランドとの関係を持ちたいと考えています。サービス提供者は、ファン客のエンゲージメントを持続的に促進することが重要です。
例えば、定期的なニュースレターやメールマガジンの配信、新製品の予告やイベントの告知、限定コンテンツの提供などを通じて、ファン客を常にブランドの最新情報と共に惹きつけることができます。
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プレミアム体験の提供:
ファン客に対しては、特別なプレミアム体験を提供することで、彼等との関係をさらに強化することができます。
簡単に言えば、依怙贔屓(えこひいき)です。
例えば、限定イベントへの招待やファン客だけが参加できるワークショップの開催、商品の事前試用など、通常の顧客には提供しない特典をファン客に体験してもらい、彼らに対して特別感を演出します。
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フィードバックの統合と活用:
ファン客からのフィードバックは、ブランドの改善や成長にとって貴重な情報源です。商品提供者は、ファン客からの意見や要望を積極的に収集し、製品やサービスの向上に反映させる努力をします。
さらに、その改善点をファン客と共有し、彼らの声が実際の改善に繋がったことを示すことで、彼らの関与とロイヤルティを高めることができます。
まとめ
私は、社会人の初期10年間を宝飾品業界で過ごし、その後20年を温浴施設や飲食店の運営に携わってきました。顧客、ファン客の考え方はラグジュアリーな世界でも、庶民的な世界でも全く同じです。
以上の具体例を踏まえ、サービスの提供者はファン客に対して顧客との差別化を行うことができます。ファン客は熱心な支持者であり、ブランドのアンバサダーとしての役割を担てくれます。
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