オーソドックスな方法…水の使用を考える④
温浴事業者として水の使用量を如何に抑えるか?経費をどう落とすのか?をシリーズで書いています。
イロイロな提案があって、それぞれメリットもあるようですがそれぞれにコストがかかりますので全てを採用する訳にはいきません
あれこれ考えた末に4年程前にもっとも単純なので仕組みも明快な方法を採用して30%以上の使用量の削減を実現しました
それは無駄な水は使わない・・・という極めてシンプルな方法です
溢れたお湯は回収します
あらゆる補給系統にメーターを取り付ける
温浴施設のバックヤードや地下ピットは縦横無尽にイロイロな配管が通っています
温度を一定に保ち、お湯を濾過する為の循環系統、排水の為の系統、新しい水を補給するための補給系統などが各浴槽毎にあります
補給系統にメーターを取り付けてそのデーターをリアルタイムにPCで確認できるようにしました・・
地下ピットを走る様々な配管
そうすると意味もなく補給がかかっているという現象があちらこちらで生じています
補給がかかると言う事はどこかでお湯を消失していると言う事です、その原因を一つ一つ探って行くのです。
風呂栓を信用してはならない
お客様が全く入っていない時間にもちょろちょろ補給がかかります、どれだけ原因を探っても解らない、配管にヒビでも入っていないかと思いますが、そうすればどこかが濡れる筈です、最後の手段風呂栓を新しいものに変えるとピタリととまりました
風呂栓も長い間抜いたりハメたりするので摩耗していたのですね、そしてバカにならない湯量がちょんちょろリンと抜けていたのです
回収層はブラックBOXである
多くの施設では湯船からザザーと常にお湯が流れています、このお湯は排水しているのではなくて専用の回収層に戻って濾過器を通して再び浴槽に戻ります。
この回収層は見えない浴槽です、浴槽が大きくなればなるほどそれに応じた大きな槽が必要になります、なのでとても邪魔になるので大抵は浴槽の真下とか、地下ピットとか人目につかない、スタッフからするととってもややこしい場所に設置してあります。
見ない場所にある回収層槽
イロイロな理由で此処からお湯があふれ出ても目視ができませんので解りません。
浴槽のお湯の補給判断はこの回収層で行います、つまり回収槽のお湯が少なくなれば新しいお湯が入るのです・・・なぜならお客様の入る浴槽は基本的に溢れる状態だから系統としての湯量が多いのか少ないのかの判断ができないからです
ややこしい話ですが、浴室の浴槽と回収層のバランスが合わないと無駄が生じるのため調整が必要になりますが、今迄はバランスが崩れているかどうかはなかなか気づけなかったのです。
ツボ風呂のお湯も豪快に排水していた
人気のツボ風呂は満たされたお湯に浸かり豪快にあふれ出るのが人気の秘密です・・・ですがこいつも豪快に捨ててしまう訳にはいかず、大抵は下で受けて回収層に戻します、ところがこれが構造上上手く回収できていませんでした・・・
ヒューマンエラーが最大の敵である
繁忙期に多くのお客様が一挙に入ると、湯舟のお湯が足りなくなったり冬場に温度が下がると強制的に熱めのお湯を入れたりします
これは手動で行いますが、こういった時は猫の手も借りたい状況なので本来は禁じていますがスイッチをいれたままその場を離れてしまい、気付かずにいるというような状況になると大変です。
このスイッチの入り切りのミス、操作ミスが最も怖いのです
バックアップの上水が入ると僕の心拍数は半端なくなる
沢山のお客様が一挙に来店されてウホウホしていると、蓄えていた地下水が底をつく事があります、こういった非常時には水道水がバックアップとして入ります・・・・
こうなるとウホウホの顏は一挙に青ざめる事になります
だって水道水って高価なのです、まるでエヴィアンが無造作に湯船に貼られていくような心境です(-_-;)
ですから繁忙期は特に受水槽の様子を行ったり来たりして確認していましたが、今はデーターを見ることで大体の事は事前判断つくようです
あたりまえの事ですが見える化する事で無駄を見つける!コレはとても効果がありました
この設備も電気やガス系統も含めてイニシャルコストは結構かかりましたが成果は十分だったと言えると思います(^_-)-☆
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