原田マハ 著 「本日はお日柄もよく」
困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい、三時間後の君、涙が止まっている、二十四時間後の君、涙は渇いている、二日後の君、顔を上げている、三日後の君、歩き出している
目次
原田マハ 著 「本日は、お日柄もよく」
スピーチライターという仕事に焦点を当てた小説、言葉の持つ力と相手に伝わる話方、小説に出てくる登場人物が話すスピーチは小説と解っていても引き込まれ、はっ!としたり目頭が熱くなったり!
政治家の演説に始まり、企業経営者や各種団体のお偉いさんの挨拶はもとより町内会の会長さんの会合での挨拶や、はたまた結婚式の祝辞迄、スピーチを行なわなければならない人は多い。然し、記憶に残るようなスピーチは1割にも満たないだろう。ゴーストライターならぬプロのスピーチライターという職業があり、その需要は高いらしい!
スピーチライターに必要な事
どんなに素晴らしい原稿であっても、それをスピーチするのはライターでなくスピーカーである、原稿が原稿であってはならない、その人の言葉でなければ。
スピーカーの話し方、人間性、信条、を見抜きその人の言葉になるような構成が必要らしい、ライターは創作ではなくスピーカーが話したいことの構成を手助けするのが仕事である。そういった意味で言葉以上に人間観察力に長けていなければ良いスピーチライターにはなれない。
スピーチで世界は変えられるか?
昨日観たTVでオバマ大統領について語られていた、ご存知のようにスピーチの天才であり、スピーチ力によってアメリカの大統領になった人だ。
然しアメリカの大統領としては指折りの人間力のない人であるとこき下ろされていました。政治で重要なのは人間力!オバマ大統領と人間関係を築いている首脳は誰もいない、安倍さんだってオバマは苦手な筈だ、ワシントン自体がオバマと人間関係が作れていない。大衆に語り掛けるスピーチと人間力で関係を創る事は別である・・(@_@。とコメントしていました。
言われてみれば説得力のある話しである。
この小説のクライマックスで困難にぶつかった人物にとった行動も冒頭の台詞ではなくある無言の行動だった。
人間関係ができているからこそ心通じるものがある。
言葉は武器であり道具である、作者が書きたかった事もそこにあるのではないかと思う。
とまらない涙はない、渇かない涙もない、顔は下ばかり向いている訳にもいかない、歩き出すために足があるんだ
人間力と言葉の力
とてもいい小説でした
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