「遊びの武器商人」林和俊氏のマーケテイング力
横浜市鶴見区はもともと街中銭湯が20件以上ある銭湯激戦区
ここに十数年前から一つの健康ランドとスーパー銭湯が対峙しながら均衡を保っていた・・・?
ところが三年前鶴見川沿いに立つこのスーパー銭湯の向こう沿いに日本一のスーパー銭湯チェーン店が、業界も騒然とする超巨大スーパー銭湯「ラクスパ」を突如出店をした
その構図は笑えるくらいに対峙する形で!!
“わりやー喧嘩売っとんかい!”
“見てわからんか、特売じゃ。。。!”
さらに昨年は車で5分くらいの場所に高級感のあるスーパー銭湯を展開する「湯けむりの庄」が出店した
“おらー何してけつかんねん!!”
“上品に行こうよ、ここは横浜だぜ”
“アホちゃうか、限りなく川崎じゃ!!”
こんな会話があったかどうかは関西人の全くの妄想ですが
温浴業界の火薬庫、銭湯のバルカン半島とも言える一触即発のこの地で、独自の運営で温浴ファンを虜に安定した運営を行う“遊びの武器商人”林和俊氏をインタビューしてきました
おふろの国の駐車場から対岸を望む・・
目次
とことん楽しむ遊びのプロ化
百の肩書きを持つ男
表向きは『おふろの国』の店長ですが、それ以外にも多くの肩書きを持つ
「OFR48プロデューサー」「日本サウナ熱波協会」代表「日本サウナ映画祭」実行委員長
「日本温浴芸能協」会長「プロレス団体『熱波道プロレス』代表「お風呂甲子園」役員・・・・
シュールで聞いただけでよく解らない活動を山ほど行っている
面白いと感じた瞬間に組織を立ち上げるとっても変な人だ
インタビューをしていて気づく
この人は組織を立ち上げる人だ、つまり人を巻き込む天才なのだ・・
仕事を遊ぶという遊びのプロ化、その取り組みの一例に触れてみよう
OFR48
発想はもちろんAKB48を真似ている、それぞれのメンバーが所属事務所が違うことに着目して自店を含め同業のお風呂で働く女性従業員を集めて施設で歌って踊るイベントを開催する
自店のスタッフがアイドルとして利害関係を超え相互の施設で公演を行うというのはある意味画期的なアイデア!
しかしその中身は単なる余興ではなく真剣だ
持ち歌はオリジナルでCDの発売も行う!
衣装もオリジナル!振り付けもプロの指導で踊りまくる!
温浴施設の飲食コーナーを舞台にしているかと思えば、大真面目に活動を行い公の場でライヴを重ね、ついには渋谷公会堂での公演を実現してしまう
真面目に一つのビジネスとして捉えているところがすごい
彼女達は風呂屋の店員なのだ、と同時にプロのOFR48メンバーとして自店の広報活動も担っている、マスコミの露出も多く広報活動としても一定以上の効果をもたらしている
日本サウナ熱波協会
サウナの楽しさを全国に普及する目的で自店のサウナルームで誕生した協会
ロウリュパフォーマンスを行う熱波師とそれに参加するサウナー達との戦いを自店のサウナでライヴとして行う「熱波ローリュー」
林さんの取り組みはここでも遊びを超えている
元プロレスラーの従業員、現役のプロレスラー達を動員して本気のパフォーマンスをサウナ室で繰り広げる
「サウナは劇場だ!」が氏のメッセージ
その活動は徐々に広まり、熱狂的な信者を生み出すと同時に共鳴する施設や熱波師志望者を生み出している
元プロレスラーで『サウナ皇帝』井上勝正氏はおふろの国社員
館内やサウナ室に挑発的に熱波師が戦いを挑むポスターが貼られている
その勢いはプロの熱波師を目指すものが現れるほどだ
“いったい人の人生を何だと思っておるんだ!”と詰め寄りたくもなる破滅的な熱い風を送り続け、自店をロウリュの聖地としてしてしまった
しかもすごいのは数百万もするロウリュ装置はブリキのバケツにフライパンで熱した石を使って行うという
情熱はアイデアをも産むのである
取り組んだことはとことん遊ぶ、そうすれば本当にそれが仕事になりビジネスとなることを証明していると言えよう
代表的な二つの取り組み以外にも色々なチャレンジの話は笑えますよ
それって誰が嬉しいの?
視点が変わればターゲットも変わる
自分の好きなことを突き進むということはお客様を選ぶことになる
全方位戦略で優位に立つのは資本力があり、業界のトップを走る企業とそれに追随できるフォロワー企業だけであることはビジネスのセオリーであるのに温浴業界、特にスーパー銭湯以降の施設はどこも全方位戦略をとってきた
オンリーワンだとか独自化だとか言われる時代だがその本質を理解している企業は少ない
林さんのとる戦略はすべてのお客さまに合わせるのではなく、林さんのテイストにあった人が来店される究極のセグメントを行っている、つまり独自の人たちをターゲトとしているのだ
一見無駄とも思える経費もセオリーに囚われていては捻出できない
ターゲットが変われば商圏は広がる
林さんの取り組みとその面白さはなかなか口では伝わらない
うまく説明できないシュールさが持ち味だ、なんとなく楽しそうなことや、バカバカしそうな事を本気で行う・・・そしてそれを体験すると中毒になる人が出てくる
上辺だけのモノマネでは太刀打ちできない本気だから独自化されている
そこでしか味わえないサービスを提供すれば本来ローカルに根ざした温浴事業なのに商圏を飛び越えて人がやってくる
ロウリュ装置がなかったのにロウリュの聖地とまで言われ、それを体験しに遠方からも人がきたり、それを取り入れようと同業者が教えを請いにきたり・・・
独自化しているのでマスコミも放ってはおかない
かくして“好き者”が商圏を飛び越えてやってくるのである
事実、この築年数のスーパー銭湯でマスコミの取材本数は圧倒的な筈だ、本人に聞いてみたが覚えていられないくらいの数の取材を受けている
共感ビジネスは最強だ
航空母艦のような最新の設備とスペースを持つ大型店、高級旅館を思わせる佇まいも岩盤浴も、フィットネスジムもない
激戦区に参入してくる新規店はそれなりの装備を携えてやってくる
消費者にとっては選択肢が広がる、産業としても興味を持ってくださる方が増えるのは決して悪いことではない
しかし、どんな装置よりも最強なものは“共感”だ
お客様はこの空間が心地よいのだ、だから林さんの運営するお店は林ワールドが好きな人たちであふれている
それはお客さまだけではない、スタッフも同じだ
風呂上がりに自店の施術氏が出したCD?を売りに来たボデイケア受付のおばちゃん!因みにボデイケアはセールスされなかった!曲名は「ケア、ケア」だって(ー ー;)
本気か?( ? _ ? )
遊びのような仕事は理念である
林さんの理念をインタビューしましたが爆笑でいっぱい、こんなに楽しければそりゃお客さんも来るはな!(是非音声で聞いてください)
次回の取り組みは社会的にも意義のあるものです、是非形にして頂きたい内容もお話しいただきました
是非音声で聞いてください!!
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インタビューを音声で伝えるブログをシリーズ化していきたいと思っています
番組を聴講していただいたご意見、ご感想を頂戴できれば幸いです
第1回放送 遊びの武器商人
第2回放送 あの人は本モノのプロレスラー
第3回放送 スーパーのロゴマークフェチ
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