食中毒を疑われたお店の対処法

宿泊をした事のある旅館が食中毒を出して飲食提供の停止処分を受けたと聞きました

お客様の目線で商売をされる良い旅館で、その対処方もしっかりとされていたようです

私自身、食事を提供する事業に17年間携わっていましたが食中毒を起こしてしまう危機は常に隣り合わせであり、おかしな言い方ですが一度も食中毒を出さなかったのは奇跡のように思うこともあります。

状況によってはそれほど可能性の高いことだと今でも思っています

食中毒の訴えで大切なのはお客様の体調

今までお客様からの食中毒を疑う訴えは両手の指では足りないくらい経験しています

結果的にはどれも直接の原因は当方にはないと判断できるものでしたが電話口では激しく怒っておられる方、懐疑的に尋ねてくる方、しんどそうな方、・・・イロイロです

こうした電話を受け取ると狼狽してしまいますがどうするべきか?

真意は一体なんだろう?

謝るべきなのか?

状況確認をすべきなのか?

初動で一番重要なことは原因究明ではなくて体調を崩されたお客様の体調がどうであるのかと言う心配です

食事をしたということはお客様です

そのお客様が体調が悪いと仰るならば、心配をして当然です

責任云々はさておいて、お客様の容態を心配すること

そして、状況に応じていつ、何を召し上がったのか?

容態が悪いのは一人なのか?複数なのか?

当店以外での原因は考えられないのか?

逃げるのではなく寄り添うようにヒアリングを行うことですね

謝ると非を認めたことになるのか

ここで気になるのは謝るのかどうかということですが

この段階で謝る必要はありませんが、かといって頑なな態度を取る必要もありません

よしんば謝ったとしてもそのことが全面的に非を認めたことにもならないと思いますけれど・・・

当店を利用されているお客さまが苦しい思いをされていることへの思いやりとその原因が自店にあるかもしれないという疑いを持って接することです

食中毒を判断するのは医者である

不調の原因が食中毒であるかどうかを判断するのは医者です

いくら食中毒を疑われていてもその判断を客観的に判断できるのは医者です

医師の診断を取って貰わないとお客さまへの具体的な対処は進めることはできません

食中毒を訴えているお客様がまだ医者にかかっておられないのであればご自身のためにも医者にかかることをお勧めしてください

これなしに責任問題のやり取りは先には進めることができませんからね

食中毒が自店の責任であると判断するのは保健所である

食中毒の原因がお店にあると客観的な判断をするのは保健所です

よく、保健所に訴えるぞ!と言われる方がおられますが恐れてはいけないです

保健所には寧ろこちらからこういう事態が発生していますと相談すべきです

食中毒が自店の過失によるものかどうかを判断をしてもらう必要があるからです

隠蔽するのはもってのほかで、今後も信頼のある商売を続けるためにも必要なことです

お客様や、医者からの通報で保健所は動きますが、通常複数からの訴えがある場合か、食中毒と判断された方が重篤な状況でない場合ヒアリングは入りますが実際に保健所は動かないケースが多いです

食中毒に対応する保険はPL保険

食中毒に関する保険には加入をしておくべきです。対象となる保険は「生産物賠償責任保険」(PL保険)です

お店で提供した食品の加熱が不十分でお客様が食中毒になり入院してしまった。

食品に異物が混入していたためにお客様が口内を切ってしまうケガをしてしまった。

こういった場合に適用される保険です

オプションとして、見舞金や仲介弁護士費用などを賄ったプランも同時に検討しておくべきだと思います

休業補償保険の検討もしましょう

休業損害補償保険は事故によりお店を営業できない間の売上(あらかじめ決めた額)
を補償してくれる保険です。

保健所の判断で過失が認められると最低でも3日間の営業停止処分になります火災保険などでカバーされている場合もありますが、予め加入保険の種類を見直しておきましょう

店舗の誠意とは

食中毒を起こした場合、あるいは疑われた場合御客様にの健康に対して向き合うと同時に自店の落ち度や衛生管理についても徹底して向き合うこと、天の啓示だと思うことでしょう

その情報を開示知る事、社内共有して食中毒を未然に防ぐ努力が必要です

衛生管理が厳格であるはずの大手外食チェーンでも食中毒は頻発しています

調べてみると、長時間労働やアルバイトだけのオペレーションで問題になっているチェーン店での報告が多いのには何か因果関係を感じます

冒頭の旅館の主人の対応のレポートを見ても本当に大変な苦労がよくわかります

高齢者ばかりの集団食中毒では、被害にあった方の健康の回復を祈るような気持ちだったことでしょう

春から夏にかけて十分に気をつけましょう

応援してね!!

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小野康成 温浴施設コンサルタント 温浴施設の持つポテンシャルを視座を変えて見つめ直すと実に多くのサービスを提供できます。それを必要としている人が地域には溢れています。17年間で複数の温浴施設・飲食店を立ち上げ現場指揮から得た経験から、施設と地域と人を繋ぐプロデユースを行なっています。