竹野内豊が好む温泉:本質を突いた温浴施設プロデユースから学ぶ

30年以上に渡り多くの温浴施設をプロデユースしてきたアクアプランニングの中村氏

ほっこり、まったりは温泉を表現する王道のキーワードですが、それを体現する施設の仕掛けが最近少し変わってきた、大勢が利用する施設の中で敢えて”個”になる空間を効果的に配置する、そんな施設が増えてきているように思います。

その仕掛人でもある中村氏の話を聞く機会がありました、施設をリノベーションする際のプロの視点を学んできました。

設計で重要な導線計画

今回は昨年秋にリノベーションを行った長野県のコトリの湯を引き合いに、設計目線でのほっこり、まったりに重要なポイントを話していただきました。

冒頭で大きな変更点として館内導線の変更点ついて語られていました。

施設運営の上でとても重要なことは理解しているつもりです、施設を利用する目的をどこに置くかで導線は計画は大きく違うからです。

以前はロビーからメイン廊下を通り浴室に辿り着く、施設としては入り口から最短距離で脱衣場に辿り着く設計だったようです。

確かにお風呂が目的ならこれもいいでしょう、因みにこの施設はその主通路の片方に厨房が、そしてもう片方に飲食スペースと休憩の畳部屋があったそうです・・つまり食事をする人は浴室の行き帰りのお客様が歩く通路を横断して飲食の注文をして、出来上がった料理をまたもや横断して自身が確保したテーブルでに運び食事をするのだそうです。

すべての人が厨房と、飲食スペースを通る訳で合理的といえば合理的ですが、なんとも落ちつ気がないように思えます。

当然今回は施設内の回遊性をテーマに、導線を長く取り浴室まで回り道をして辿り着くように変更したようです、回遊のために設けた廊下は外の景色が楽しめ、心のゆとりを持つことができます。

このゆとり、一見無駄な時間をかけることが本来の日帰りお温泉に求められる重要なポイントです、回り道をしながら廊下にかけられた絵を眺める、この施設のように景色を楽しむ、あるいはちょっとしたお土産物を置いて買い物を楽しむ。

湯船につかるのは目的の一部にすぎなのだということを理解する必要があるでしょう。

ロケーションはとことん武器にせよ

この施設は信州の山あいにある非常に見晴らしの良い場所に建っているそうです。

日帰り温泉では自然を楽しみながら露天風呂に浸かるのが贅沢で気分が盛り上がりますが、そのロケーションを100%生かす努力が設計に生かされているかは施設によって違います。

オーナーに強いこだわりがある、あるいは設計士のセンスが抜群に良い、そういった場合には素晴らしい借景をものにすることができるのですが、せっかくの景色を生かしきれていない残念な施設が多いのも事実です。

様々な理由が現実を阻むこともありますが、嘗てのコトリの湯もとても景色の良い方向が壁だったのですが、敢えて壁をぶち破りテラスを設けたそうです。その眺めはこの施設の価値を大きく変えるそんな空間を作り出しました。

もうひ一つは些細なことですが、街を見下ろす露天風呂の目隠しを必要最小限まで外したこと。

 

嘗ては目隠しで覆われてこの景気は楽しめなかった

 

これは本当によくあることなのですが、ロケーションの良い露天風呂なのに景色が楽しめない、当然外から覗かれては困ります女湯なら更に深刻です。

ですが、よくよく計算して湯船の掘り込みを計算に入れれば問題のない領域まで隠されているといったケースが結構多いだろうなと思っていました。

中村氏はその辺りも計算して湯船に浸かる立った姿勢では見られないような範囲の工夫で同じ露天風呂が今まで以上に開放感のある空間に変更されたようです。

先程の壁を打ち抜くとは違いコストをかけず施設の価値を上げる良い例なのだと思います、これが参考になる施設は随分とあることでしょう。

ダイナミックさは非日常を感じ!コンパクトは日常を感じる!

施設の受付を通り最初に目にするのは吹き抜けのフロアーにそびえ立つ大型の本棚、圧巻な本棚の内側は階段になっていて、本棚自体が壁となり2階フロアーに続く仕組みを取り入れています。

今回の目玉であるこの部分は、設計事務所の20代の女性のアイデアから採用したそうですが、商圏人口10万人のこの街の人たちはまずこの圧巻な本棚に非日常を感じるのだそうです。

一方で飽くまでも中村氏が温浴施設に求めているのは”ほっこり””まったり”です。

2階の休憩スペースには巣ごもりスペースとして篭ることとができる仕掛けが沢山用意されています。

竹野内豊が喜ぶ空間

”俺は本当は高い天井が嫌いなんだ!”

ゴージャスで成功をイメージした高い天井を持つマイホーム、最近のタワーマンションなども高さのある窓から見下ろす街の風景などを売りにしていますが、竹野内豊が演じるダイワハウスのCMは何を意図しているのか?

何気に流れるCMの意図がよくわからないと思っていたのですが、きっと同じ方も多いと思います。

あれはきっと人間の本質の矛盾を揶揄した自虐的なCMだということが中村氏のプロデュースで理解できました。

人は本能として篭る習性を持っているネット社会や、個別社会では本能に加え社会性としてもそれを加速した環境にある。

最近見かけることの多くなった巣ごもりソファーや、巣箱ルームの仕掛け人はこういった人間の性質を追求して、敢えて非日常の世界に日常を感じるスペースを創り出していたのです。

どんなにコンパクトな施設でも、これはぜったいに参考になる、非日常と日常の組み合わせはそれぞれの施設で参考にして見て欲しい考え方です。

真似るなら本質を追求して欲しい

前例のないものを柔軟な発想で取り入れる

中村氏が施設を生み出すときに心がけていることだそうです、どこか参考になる施設を真似るのではなくて、参考にされる施設を創り出す気概を持つということです。

そういった施設を創り出す上で重要なことは本質を追求するということ、たとえば巣ごもりのような小さな部屋の大きさや、照明は人間にとって心地の良いスペースとしてどう作るのか・・・巣ごもりソファーは座った時の角度や、隣の人との距離感を徹底的に追求するそうです。

真似をして欲しいけれど、上辺だけ取り入れた施設には何だかちぐはぐで残念な結果になっている処も散見できます

人間の本質を追ったデザインだからこそ、計算を誤ると本能で受け付けないということなのでしょう。

折角なら本能で落ち着ける場所が日本中にできることを望みます、そういった意味で盗むのなら中村氏の追い続ける緻密な完成を盗んで欲しいな!

そんな風に感じました!!

※写真はコトリの湯公式HPから引用させていただきました

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おのやすなり

おのやすなり:全国アパレルチェーンのエリアMGRとして勤務後、温浴事業参入を目指す企業にプロジェクトリーダーとして入社。設計段階から関わり1号店を出店、その後取締役事業部長として事業拡大を行い温浴施設3店舗、付帯飲食店5店舗を展開し統括を行う。 2016年、お風呂を利用した全てのビジネス(温浴・宿泊・介護・スポーツジムなど)運営の総合アドバイザー集団を目指し独立、現在に至る。 現場が問題意識を持ち課題に取り組める組織運営をサポートし活気のある施設運営で売上・利益をあげるサポートを行います。

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