AKB48ビジネスと大衆演劇!ライトユーザーをリピータに育てる共通点

2017年暮れに改装オープンした湯守座はおふろcaffeを運営する埼玉県の温泉道場が直営店としては初めて県外に進出した大衆演劇の観劇をサービスの中核とする施設です。

最近立て続けに施設の大衆演劇導入を相談されたこともあり、関心の高まりは温泉道場の動きも一因かもしれないと感じていましたが、今回のテルマエジャパンでの講演では代表の山崎氏は湯守座についても話をされていました。

 

湯守座劇場公演予定

大衆演劇の仕組みはAKB劇場と同じ

大衆演劇が人気の健康ランドの経営譲渡を受け、大衆演劇を中核にしたままおふろCaffeという比較的若者に支持される業態を導入した大きな理由は文化の融合を狙ったもののようです。

大衆演劇という独特の文化、知らないものには古臭いイメージがあるかもしれないですが熱狂的なフアンが多く全国各地で熱い声援を送る人達で賑わっています。

当初、梅沢富美男と早乙女太一と二人の役者の存在くらいしか認識しかなかったと山崎氏は言いますが、大衆演劇に興味のない大多数の人達にとっては似たような状況だろうと思います。

笑いあり、涙あり、落語の要素も兼ね備えた芝居は実際にみると結構楽しめます。なんば花月の吉本新喜劇も一種の大衆演劇ではないかと思いますが、山崎氏は初めて観劇をして劇団の役者に会えて、握手が出来て、お弁当も食べられる、これはAKBと同じだなあと感じたそうです。

ライトユーザーを惹きつけることが施設を活性化させる

大衆演劇と言うある意味特殊なサービスを提供する施設でありながら、穴蔵や壁にずらりと並んだお風呂caffeの代名詞巣ごもりスペースを作った施設は一見ミスマッチではないかという意見もあっるようですが、実際に施設を見ればそうは感じられません。

劇場メインの1階は白木で統一され、開放感と清潔感がありとても贅沢な空間で多くの大衆演劇フアンの方達(実はかなり年齢層は広い)にとっては他の如何にも大衆劇場といった少しうらぶれ感のある施設よりも心地よい空間となっています。

吹き抜けのあるロビーを囲むような2階にある寝そべる図書館といった楽しい空間はおふろCaffeの店作りの本領発揮といったところですが、このエリアも老若男女どの世代の方も落ち着く空間となっています。

今まで大衆演劇に興味のなかった人達が、施設を訪れることで新しい文化に嵌るこういった仕掛けが意図された施設です。

巣ごもりはおじさんにも好評です

大衆演劇の観客やフアンを増やそうとすると通常素材そのものを伝えたり、売り出そうかと考えるものですが二つの違った文化を敢えて一緒に取り込むことで化学変化を起こそうとする発想が流石だと感じます。

装置産業はソフトまで装置化して終焉を迎える

大衆演劇のコアなファンによって盛り上がる劇場がある一方で、廃業に追い込まれる昔ながらの芝居が見られる健康ランドも多くあります。

大衆演劇には人気のある役者を抱えるドル箱劇団もあれば、残念ながら集客量が全くない劇団も多く存在し施設の賑わいは興業手配任せという部分が多分にあると聞きます。

残念ながら、この傾向は今も根強く施設自体に魅力を持たせ繁盛している施設がある中で、そのことに気づかず(気づいてるかもしれないけど)観客動員が施設の魅力だと勘違いされている施設がまだまだ多くあるのではないかと思います。

そのおふろで入浴料金取れるの?その食事でその料金はどうよ?と思える施設です。

大衆演劇を提供する施設だけでなく、設計事務所に任せっきりでその後出来上がった施設をただただ運営する施設も同じで、温浴施設は機械が動けばそれでOKな装置産業であってはならないということです。

おもてなしで定評のある施設だから決断できた事業譲渡

湯守座の前身は四日市ユラックスと言うおもてなしサービスでは定評のある健康ランドで、サービスの高さを競い合う『おふろ甲子園』で初代チャンピオンに輝いたこともある施設です。

先月偶然前ユラックスの社長で、現在は譲渡先の株式会社温泉道場と共に設立した新会社で副社長として経営をされている金澤氏とお話しする機会があったのですが、温泉道場の人間力を大切にする風土に憧れ、この施設をさらに進化させていく為に決断したのだと仰っているのを聞いてその先見性に感心しました。

施設を思い、進化させる為に常に前に進む決断!!職員の方は全員新しい会社に異動し、さらに進化したサービスを一丸となって求めているそうです。

楽しいなと思うことを実践する

劇場には升席を設けてお弁当を食べながら観劇をする!

桟敷席を設けて、高い場所からお気に入りの役者を応援する!!

面白そうなことを取り入れてリニューアルをした劇場はここで演目を行う劇団員達にも好評でテンションが上がると喜ばれているそうで、いつも以上にボルテージの上がった講演が行われているそうです。

温泉道場のメンバーは色入な挑戦を行うことで有名です!

この素敵な劇場を使って、日本の伝統文化や、小演劇を誘致して新たなか客層を取り込み、それはお風呂に興味のなかった人たちを新たなユーザーに変えていくことに繋がるのだと思います。

今後の演目や施設の取り組みから目が離せません、劇場を抱えた施設には大いに参考になることと思います。

 

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小野康成 温浴施設コンサルタント 温浴施設の持つポテンシャルを視座を変えて見つめ直すと実に多くのサービスを提供できます。それを必要としている人が地域には溢れています。17年間で複数の温浴施設・飲食店を立ち上げ現場指揮から得た経験から、施設と地域と人を繋ぐプロデユースを行なっています。