電通の過労死問題は残業を減らしても解決しない

電通社員の過労死事件、自殺した社員は東大卒の新入社員

超一流大学を卒業した若き女性が就職した超一流の企業で起こった悲しい事件なのでこれほど大きく取り扱われるが氷山の一角に過ぎない

残業、休日返上、パワハラ、過労死という言葉はブラック企業という言葉が広まる以前からあったような気がするが一向に無くなる気配はないですね

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うつ病は現代病か?

厚生労働省の発表によると1996年に43万人であった我が国のうつ病患者は2008年には104万人となんと2.5倍も急増している、2016年現在では111万人だと言われている

これでうつ病が現代病であると判断するのは当然間違っている、伝染病でもないのにわずか10年足らずで患者数がこれだけ増加しているのは、うつ病という病気が広く知られ病院で受診をする人が増えたからに過ぎない

TVやインターネットの普及により認知度が広まり、薬価の高い新規抗うつ病の開発は薬品会社の一代キャンペーンとして展開されたのが大きな要因だと言える

それより問題とすべきはその後の8年間での伸び率だと思う、7万人増は7%の伸びでこれを低いとは言えないだろうが250%の伸びと比較するとまだまだ潜在的な数字が隠されているにちがいない

これほど社会問題となっているうつ病だが、日本の発生率は世界的的な統計でいえば最も低い国とされている

 

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自分がうつ病だと感じたことはないが・・・

個人的な事で人に話した事はないが、大学を出て11年間勤めていた企業でぼくは毎年元旦に来年の元旦まで生きているだろうか?今思えば必ずそう考えていた

電車のホームで無心に線路を見つめハッとした事や、高層ビルから地上に吸い込まれていく幻覚を見たり、出張で乗り込んだ飛行機が落ちる妄想をしたり・・・・そういうことがしょっちゅうあった

いやいや、危険ですよね今思えば相当病んでいると思うのですがもう20年以上前のことです

だけどこうして文章を書いている今まで自分がうつ病だと感じたことはないし、もちろん医者に相談したこともない、相対的には疲れ切って不毛な毎日だったとはいえ笑ったり、感動したりの感情も持ち合わせていた

あるきっかけで転職したがなぜもっと早くそうしなかったのかが今では不思議でならない

気づいていなかったし、認めたくなかったのだと思う

残業をなくせば解決する問題ではない

世界的に見てうつ病の発生率が高いのはアフガニスタン、パレスチナ自治区、ポンジェラスなどの中東、北アフリカ地区に多い

戦争状況や内紛など戦闘状況で常に命の危機にさらされた緊張状況の中にいてこれは当然の結果だといえるでしょう、また米国においても帰還兵のうつ病発生率は極めて高い

一方でアジア諸国では低いとされています

しかし自殺率はアジアは非常に高い

世界的に見てうつ病の発生率が最低水準の我が国の自殺率は世界第8位です、これについては宗教観や死生観の違いがあると言えるでしょうが、それだけではないとぼくは思います

精神的に極限に追い詰められるということであれば戦争状況であれ、企業組織の体質であれストレスを感じる以上あらゆる要因が発症の原因となるでしょう

問題はそれに気づき認める風土があるかどうか

キリスト教では自殺は許されていません、神と向き合うことで自分と向き合う、誓いと許しの葛藤の中で自分を見つめる精神状態、それをサポートする教会という仕組み

心が弱っていることに気づき、認め、許される風土が絶対的に違います

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電通は日本の縮図

電通という企業は日本を動かすような、もしかしたら操っているような、大きな組織です

電通マンといえばお家芸の製造業に比べ比較的超自由人のような人たちが多くいてクリエティティヴで欧米的な企業というイメージが強かったのですが

電通で起こっていることは日本中の企業や組織で起こっていることです

企業のあり方の問題提起にはなるでしょうが、残業を減らしたことくらいで解決するような問題でないことは明白だということは誰しもわかっているはずです

存在の置き場所を複数持つ

東大出身というプライドと電通というブランドが引き起こした悲劇かもしれません

周りは彼女の異変に気付いていたでしょう、そして自分でも自覚はあった筈です

頑張れば頑張るほど周りと距離を感じますます孤独になり精神的に追い詰められ行き場を見失ってしまった彼女がもし電通という組織以外に自分の存在の置き場所を持っていればと思うと残念でならないです

自分を変えることができるのは自分しかなく、社会の仕組みは何をしても良いのだが、何をするかを決められるのは自分しかいないない訳ですから

うつ病やうつ病予備軍と感じていない人が数字の何十倍もあるにちがいない

精神状態を変えると決める

最悪の選択がベストだと思わない選択だと気づく

どんな状況下であっても自分を認められる風土

そういったことが可能な社会風土こそ大切ですよね

応援してね!!

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小野康成 温浴施設コンサルタント 温浴施設の持つポテンシャルを視座を変えて見つめ直すと実に多くのサービスを提供できます。それを必要としている人が地域には溢れています。17年間で複数の温浴施設・飲食店を立ち上げ現場指揮から得た経験から、施設と地域と人を繋ぐプロデユースを行なっています。