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理想の入浴時間は何分でしょうか?

理想の入浴時間はどのくらいでしょうか?

スマホを持ち込んで3時間という猛者もいれば、カラスの行水で3分間という方もいるでしょう。その方の嗜好や年齢、体力、健康状態によって答えは変わってきます。

入浴に求めるモノによって入浴の仕方は変わってきます。今回は温浴施設の現場経験や介護現場の経験から人々の嗜好や声も合わせて入浴時間と注意点などを考察します。

理想の入浴時間は〜15分

健康的な側面で理想なのは40度前後のお湯に10分から15分肩まで浸かるというのが模範解答です。少し温めのお湯でゆっくりと体を温お湯で皮膚が温められると、血管が拡張して血流量が増加し、温められた血液が身体じゅうをめぐって全身が温まります。

熱いお湯で皮膚を温めるのではなく、体中を巡る血液をゆっくり熱交換してあたためるイメージです。

血管の拡張には末端の毛細血管など普段十分な血流が届かない血管も拡がります。冷え性などの改善はこの作用によって改善できます。

しかし、血管の拡張はすぐには始まりません。体を暖めて、しっかりと温もるのには時間がかかるからです。そこから血管が拡張し血液が身体を巡り芯まで温まるのには10分から15分は必要でしょう。

注意しないといけないのはお湯の温度です。熱湯に浸かると交感神経を刺激し緊張状態となりますので血管は逆に縮みます。ヒートショックによる血圧の急上昇なども心配ですが、健康体の方であってもカラスの行水状態で血管が縮待っていれば血流改善は期待できないのです。皮膚は熱いですがしっかり身体の芯まで温まっていないと湯冷めも早くなります。

しっかり温まるなら肩まで浸かるのも重要なポイント

身体に負担が少ない半身浴を推奨されるお医者様や専門家も多いですが、温泉療法専門医である東京都市大学教授の早坂信哉教授は”半身浴ではほとんど健康効果はない”(最高の入浴法*大和書房)の中で述べられています。

湯船の中では『静水圧作用』が働き水圧によっても血流がよくなりますが、全身浴と半身浴ではその効果は全く違ってくるからです。

心臓や肺に疾患がある場合は別ですが、肩まで浸かる全身浴で、無理のない温度、時間という時間設定が理想なのです。

炭酸泉の10分入浴がとても理想的な理由

炭酸泉の体温上昇効果は水道水の1.5倍

さて、ここで炭酸泉のことについて触れておきます。

炭酸泉は血管を拡張する作用がありますので高濃度炭酸泉は水道水で沸かしたお湯と比べ体温上昇の効率が良いことは何度もサイトで紹介しています。

それでは、その違いはどのくらいあるのでしょう?

ある実験結果では人工炭酸泉と水道水の沸かし湯では体温の上昇率は約1.5倍もの違いがあるとの報告があります。

健常な成人男女15名に41度の人工炭酸泉と水道水の沸かし湯に15分浸かったところ水道水の沸かし湯の場合、皮膚の深い部分を測る深度体温計で平均0.9度の上昇に対して人工炭酸泉の場合1.4度上昇しており、その差は0.5度の違いがありました。

僅か0、5度ですが、体温の0.5度は身体にとってはとても大きな違いです、平熱が36.5度の人が37.0度になれば微熱を感じる状態なのでその差はお分かりになると思います。

炭酸ガスが血管に作用し始めるのに約4分、そこから血管は2倍近く拡張します、流れる血量は4倍近くになります。体温より少し高めの40度前後の温度でゆっくりと血を温めることで10分入浴、炭酸泉の入浴は身体への負荷は少なくてとても理想的です。

スマホ入浴3時間は身体によくないのか?

『スマホを持ち込んで3時間映画を観ながら入浴することを楽しみにしています』

ストレス解消法にスマホ入浴を趣味にされている方は結構多くおられます。温浴施設ではスマホの持ち込みは厳禁ですので流石にこれはないですが、様々な湯船に休憩を挟みながら2時間くらい楽しまれる方はざらにおられます。

これ身体の負担が大きいからNGかといえば必ずしもそうでもありません。

連続的に浸かりっ放しは推奨できませんが、それがストレス解消になるのであれば休憩を挟みながらの入浴は間違いではないと思います。しかし、いくつかの条件があります。

健康な状態であること、水分補給を行いながら入浴すること、半身浴や休憩を挟みながら行う事が大切です。入浴は思ったい以上に体力を使います、疲れが翌朝以降残る場合もあり逆効果になりかねませんので過信は禁物です。健康な方でも水圧による負担も大きいです、Tシャツに絞るほどの発汗をしていても湯船の中では気づきません。

無理を感じたらすぐに中断する決断が必要ですが、スマホに夢中になりすぎて変調に気づかないと湯あたり(熱中症)となります。そういったことも考えると、ご家庭での入浴で1時間以上というのはやはり危険が伴うと心して頂い方が良いでしょう。

因みに入浴による大量の発汗は脂肪を燃焼させている訳ではないのでダイエット効果は期待できませんのでご注意ください。

高齢者の入浴時間

人間が体内で創り出したエネルギーの75%は熱に変換され体温を維持するのに使われています。体温は健康維持に重要なファクターであることがお判りでしょう。

余談ではありますが、私は介護士として週末は介護現場に立つことがあります。100歳を超えても元気に歩き回るお方は総じて体温が高いように感じます。一方寝たきりでベッドでの生活が中心の方は手足が冷たく体温はお元気な方に比べ低いと感じられます。

高齢者の入浴は5分以内でないとダメなのか?

ある介護施設に務める方との会話のなかで

”入居者様の入浴時間は5分以内の半身浴という決まりがあるのだが、どう思いますか?”

と尋ねらたことがあります。

この質問はお風呂屋を商売にしている私にとっては兼ねてから気になることでもあったのです。様々なリスクを抱えている高齢者にとっては入浴によるリスクはとても大きいものです。

しかし、はじめて入浴介助を行った時は、介助されて入浴をされることへの違和感を強く感じました。今まで癒しを提供してきたサービスの方法が温浴施設と介護施設とでは余りにも違いすぎていたからです。リフト入浴などの機械入浴は受け入れ難い思ったのです。

これは現実を知らないセンチな考えであり、間違いであることはすぐに理解できました。ただたとえ機械を使っても機械的な対応にはならないようにしなければならないというのが答えではないでしょうか。

5分以内、半身浴というのはもちろん入居者様の安全を考えてのことだと思いますし、施設にとってのリスク回避にもなります。また介護の世界は人材が不足しており時間に終われる世界でもあります。

ですからこういったマニュアルの存在は否定はできません。しかし半身浴の5分以内というのはしっかりと身体を温め、血流をよくする効用は期待薄ですし、心理的なリラックスを感じるにも心許ない気がします。

施設の方針もあるのでしょうが、可能な限り入浴者個別のアセスメントに沿った個対応を行なってもらいたいものです。

しっかりと身体を温めることが長生きと健康に繋がると思います。

参考図書

炭酸パワーで健康になる

前田眞治 著

血管年齢が若返る炭酸浴

川原弘久 著

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日本コミュニテイ・マーケテイング研究会代表:温浴施設集客コンサルタント/今まで”おふろ屋さん”に興味のなかった人たちがどんどん増え、リピーターはサポータになってしまう「なくてはならない”おふろ屋さん”」づくりをサポートしてます!キーワードは「健康寿命」と「地域コミュニテイの核」この視点に立てばこれからの”おふろ屋さん”は益々重要なのです!!

少しでもお役にたてば幸いです

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