規模の大小に関わらず「真のブランド」を構築することが継続的に商売を続ける為には重要です
そしてその「真のブランド」構築の手段の一つとしてコミュニティーの存在があります
「商品」「人」「企業」を媒介として人と人がつながるコミニテイー、そこには強固な関係性が生まれます。かけがえのない関係性から生ずる価値感こそ「真のブランド」と言えるでしょう。
コミュニティーマーケテイング(コミマ)は人とのつながりを通じそこに特別感を感じることで永続的にリピーター以上の顧客との関係性(真のブランド)を創ることで売れる仕組みを構築することです
「ブランド」と「真のブランド」の違い
ブランドはお金で創作できる?
人がその名前(企業、商品、人)に価値を感じて、何かしらの特別感を得られればブランド意識は芽生えます
ある意味背景やポリシーが真実でなく恣意的であっても人を魅了しブランドを感じさせることは可能です
大学卒業後最初に勤めた企業は大量のイメージCMとCMソングを連動させた広告ジャンルを切り開き日本中にブランドイメージを定着させ破竹の勢いで業績を伸ばしました
その企業が掲げていたポリシーが嘘かといえば決してそうだとは言いません、しかしその中身の大半は創作された物語でありポリシーのためのポリシーであったことは否めません
マネーゲームとして成功し、そしてマネーゲームに失敗し、没落したその企業は数年前に社会から消えたと聞きました
扱っていた商品は人生の中で幸せを象徴する証となる「品物」でした、多くの人たちが一生で一度のその証となる「品物」を造られたブランドイメージを頼りに決定していたのです
誤解をして頂きたくはないのですが商品ブランドとしての価値は喪失しましたが今も日本中で多くの人たちが家族の関係性の始まりを象徴する記念の品として大切に持たれていることと思います。
創作されたブランドは社会で沢山存在します。むしろ道具としてのブランドをビジネスとして持たねば利益を上げることはできないでしょう。
ブランドは高級品特有のものではありません、安売りのお店や量販店、個人経営のあらゆる商売に必要です
真のブランドとはなんだろう
お金で簡単に構築できるブランドもあれば、決してそうでない真のブランドがあります
真のブランドに大切なのは想いと積み重ねた時間とそして共感です
想いがどれ程深くても、積み重ねた時間がどれ程長くても、そこに共感がなければ真のブランドとして成立することはできません
例えビジネスとして成功を遂げたとしてもビジネスモデルとして素晴らしいものであったとしても共感を得られないもの、共感し続けてもらえないものは真のブランドとして生き残ることはできません、商売として存続はできないということです
コミュニティー・マーケテイング(コミマ)
マーケテイングの意味すること
マーケテイングの本質は商品を売りやすいように「売る仕組み」を作ることです
つまり消費者と商品の接点を制することでその方法は3つあります
消費者の頭の中を制する
頭の中で商品やサービスを想起してもらうことです、ある商品やサービスを思い浮かべたら連想してもらえる状況です
これは正にブランドの構築定義の1丁目1番地
宝石といえば〇〇
お風呂といえば△△
肩が凝ったら◽️◽️
髪を切るなら🔳🔳
歯が痛むなら〇〇
安く買うなら▲▲
商品やサービスに連動してあなたや、あなたの扱う商品やサービスを想起してもらうことです
場所を制する
商品を想起したならばその商品やサービすはどこに行けば提供されるのかを理解してもらわないといけません
人は興味のないものは普段意識していません
歯にトラブルがないと認識している人は町の歯医者がどこにあるのか解りません、コンビニの1.7倍も存在する歯科医院です、あなたの自宅から駅までの15分間に7件あったとしても見えてはいないのです
体験を制する
モノあまりの時代ですデフレ経済の中で商品やサービスは氾濫しています。
人はもうモノは欲しくありません、その中で選んでもらう基準として価格を中心に考えたならば企業も人も疲弊してしまいます
体験は二つの意味で重要です
一つはその商品やサービスが欲しい理由、すなわち本質の価値を理解してもらうこと
もう一つはその体験こそがリピートにつながるという点です
マーケテイング戦略としてのコミュニティー
ブランド無き成長
十数年前に地元の中小企業が苦しいながら社運をかけて異業種である温浴事業に参入する際そのプロジェクトに参加しました
この企業の経営者は先見の目がありました、スーパー銭湯という業態がメジャーでない時期に大当たりをしました
その後事業の責任者として複数の温浴施設、飲食店の出店の陣頭指揮を取り一定の成長は遂げることができ本業の再起にも貢献できたと思います
事業の成長は多くの新規参入を招きます、儲かるからと言う理由で参入してくる多くの企業が増え競争が高まれば資金力がある企業が優位です
ポリシーの希薄な業界にポリシーのない企業が増えていきました
ポリシー無き運営はブランドを構築することはできません、ブランドが構築できないということは選ばれなくなるということです。新しく、綺麗で、豪華な施設、価格競争で優位な施設には負けてしまうのです
コミニテイーはブランドである
お客様に選んでもらうにはどうしたら良いのだろうブランドを構築することはどういう事なのだろう、ある時期このことを真剣に考え来店されているお客さまをじっくりと観察しました
温浴施設はレジャー要素としての使われ方と、日常生活の一環としての使われ方があります
日常使いのお客さまはハードリピーターになり売り上げの構成比が高いのです、そして定着率の良いお客様はそれぞれのコミュニティーを施設内で持たれていることがわかりました
時間をかけて、施設での体験を、気の合う仲間と共感する
つまりお客様同士が施設のブランドを作ってくれていたわけです
それ以降お客様とのコミュニティーの形成を中心とした運営を心がけました
コミマで気づいたこと
コミマによるブランド化で大きく変わったことがあります
マスを意識した投資の必要がなくなりました、競合店との競争意識も薄くなりました
競合店に勝つためのサービスは実はお客様が求めているサービスと必ずしもイコールではないことが解ったからです
企業側の論理はサービスの押し付けであることが往々にしてあります
・1億円かけて掘削した温泉は本当は必要なかった
・入浴料金の値下げが客離れを招く要因だった
・年間数千万円の広告は誰も見ていなかった
・営業マンは社内に不必要、優秀な営業マンは顧客であった
・上から目線のイベントは顧客も企業もそれほど楽しくなかった
コミマのもたらすもの
コミマの促進は企業の進むべき方向性を決定する情報をリアルに収集することが可能になるので独りよがりで間違った決定を防止し、その結果新しい商品やサービスの開発につながります
関係性のブランドは価格以上の価値があるので価格コントロールが容易になります、更に関係性は新たな関係性を生みます、パイプの太い新たな顧客の獲得が容易になります
ブランドの信頼は関係性から生まれます、関係性があれば誤解やクレームが生じにくく精神的に安定した運営ができストレスフルな日常から解放されます
コミマの重要性を広める
嘗て勤めていた企業のブランド価値がかりそめだったことは前述しました
しかしその企業が今もブランド価値を持ち続けている事例を2つ紹介します
一つ目は先に少し触れましたが「家族の歴史の始まりの記念」として購入されたその品物が今も歴史の延長線上にある場合、積み重ねた家族の関係性は唯一無二のブランドでありその象徴として価値を持ち続けているということです
もう一つは当時数百店舗の中には本当に優れた店長や販売員がいました、その人たちは「商品」を介してコミュニティーを構築するこに長けた人たちでブランドはその「人」そのものだったのです
思い出として、或いは今も扱う商品は違えどもコミュニティーは存続しておりブランドとしての価値を放ち続けているのかもしれません
コミニュティーはブランドです
今後も主眼をコミュニティーに置いたマーケティングの研究を続け追求し参考にしていただければ幸いです
日本コミュニティー・マーケテイング研究会
代表 おのやすなり
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